
低未利用土地の特別控除は売却時に活用できる?申告や取得条件も詳しく紹介
不動産を所有している方の中には、ご自身の土地が十分に活用されていなかったり、手放すかどうか迷っている方も多いのではないでしょうか。そうした方にとって、「低未利用土地の特別控除」という制度は大変注目すべき存在です。本記事では、この特別控除がどのような制度で、どんな土地が対象となるのか、また利用のポイントや最新の動向まで、分かりやすく解説します。ご自身の土地売却を有利に進めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
制度の基本概要と対象条件の整理
この制度は、個人が所有する都市計画区域内にある利用が著しく低い土地(いわゆる「低未利用土地」)を譲渡した場合に、長期譲渡所得から特別に100万円を控除できる制度です。譲渡価格が一定額以下であることや、土地の所有期間、譲渡相手との関係など複数の条件を満たす必要があります。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 対象土地の定義 | 都市計画区域内で、居住・事業などにほとんど利用されていない土地 | 空き地・空き家・耕作放棄地などが該当 |
| 譲渡価格の上限 | 500万円以下(特定区域では800万円以下に引き上げ) | 市街化区域など、用途地域設定のある区域が対象 |
| 補足条件 | 所有期間が5年以上、特別な関係者でないこと、譲渡後に土地利用が見込まれること | 確定申告時に必要書類を添付 |
制度の対象となる「低未利用土地」とは、都市計画区域内にあり、居住や事業などの用途に使われていない、または周辺と比べて利用の程度が著しく劣っている土地を指します。空き地や空き家のある土地、耕作放棄地などが該当します。
譲渡価格の上限は、令和2年7月1日から令和7年12月31日までの間に譲渡する場合、通常は500万円以下ですが、市街化区域など用途地域が定められている場合には、最大800万円以下に引き上げられています。
併せて、譲渡の年の1月1日時点で所有期間が5年を超えること、譲渡相手が親子・夫婦など「特別な関係」にないこと、譲渡後に土地が利用される見込みがあることも要件に含まれます。
制度を活かすための要件と申告ポイント
この特別控除を適用するためには、まず所有期間が譲渡の年の1月1日時点で5年を超えていることが必須です。また譲渡先が配偶者や親子などの特別な関係にある者でないことや、他の譲渡所得に関する特例(収用や事業用資産の買い替えなど)を同時に受けていないことも大切な要件です。
次に、自治体が発行する「低未利用土地等確認書」が必要です。この書類では譲渡する土地が都市計画区域内にあり、かつ低未利用状態であること、譲渡後に利用される見込みがあること、所有期間が5年を超えていること等が市区町村長により記載・確認されます。確認書の交付申請には所定の書式を用い、自治体のまちづくり課などに提出します。交付までに1週間から10日程度かかることもありますので、余裕を持ってお手続きください。
最後に、確定申告の際には、下表のように必要な書類を忘れず添付してください。
| 書類名 | 内容のポイント | 留意点 |
|---|---|---|
| 譲渡所得の内訳書 | 譲渡価格や取得費などを明確に記載 | 土地・建物共用用式を使用 |
| 低未利用土地等確認書 | 土地の低利用状態や利用見込み、所有期間等を自治体が確認 | 申請に時間がかかる場合あり |
| 譲渡価格を証明する書類 | 売買契約書の写しなどで価格要件(500万以下※市街化区域等は800万以下)を証明 | 建物を含めた合計額で判定 |
これらの書類を確定申告書に添えて提出することで、制度を正しく活用できます。また、確認書を受けただけで自動的に控除が受けられるわけではないため、税務署への申告内容や添付書類の不備がないよう、十分にご注意ください。
制度の適用範囲拡大と最近の動向
令和5年1月以降、税制改正により、この特別控除制度の譲渡価格上限が引き上げられました。具体的には、市街化区域など一定の区域内に所在する低未利用土地等について、従来の譲渡価格上限500万円から800万円に引き上げられ、より幅広い所有者の方が制度を活用しやすくなっています。これにより、活用が進みにくかった空き地の売却でも、控除の対象となる可能性が拡大しました。
自治体が発行する「低未利用土地等確認書」の交付実績から、制度の実際の利用状況がうかがえます。令和4年(1月〜12月)には4,842件の交付があり、地域を問わず一定の活用が進んでいることがわかります。さらに令和5年(1月〜12月)には、4,555件に達しており、市街化区域等での制度対象拡大後も引き続き多くの所有者が制度に関心を抱いている様子がうかがえます。
以下の表は、交付件数の推移と譲渡後の利用状況を整理したものです。
| 年度 | 確認書交付件数 | 譲渡後の利用状況(住宅の割合) |
|---|---|---|
| 令和4年(1月~12月) | 4,842件 | 約62%が住宅利用 |
| 令和5年(1月~12月) | 4,555件 | 約68%が住宅利用 |
このような動向から、所有者の皆様が制度の適用可否を判断する際には、住居としての利用需要が高まっていることや、市街化区域に所在する場合は譲渡価格上限が800万円まで対応可能である点が参考になります。これを踏まえ、ご自身の土地が制度適用を受けるかどうかを検討する際の重要な視点となります。
所有者が制度利用を前向きに検討するためのステップ
低未利用土地の特別控除を利用するには、まずご自身の土地が制度の対象になるか、しっかり確認することが大切です。以下のチェックリストをご活用ください。
| チェック項目 | 該当するか | 必要に応じた確認内容 |
|---|---|---|
| 都市計画区域内の土地か | 市区町村の都市計画図などで確認 | |
| 所有期間が5年を超えているか(譲渡年の1月1日時点) | 登記簿や取得記録で確認 | |
| 譲渡価格が500万円以下(一定区域は800万円以下)か | 売買契約書などで確認 |
次に、市区町村で「低未利用土地等確認書」の交付を受けるための流れを確認しましょう。通常、次のように進みます。
- 市区町村窓口に必要書類を持参して相談・申請
(登記事項証明書、現状を示す資料、譲渡後の利用意向などを提出) - 「低未利用土地等確認書」を受領
- その後、確定申告の準備へ進行
確定申告では、以下の書類を揃えて所轄の税務署に提出する必要があります。
- 確定申告書(譲渡所得欄に特例適用の旨を記入)
- 譲渡所得の内訳書(付表兼計算明細書)
- 市区町村長の確認内容を記載した確認書類(確認書)
- 売買契約書の写しなど、譲渡価格を証明する書類
最後に、専門家への相談も念頭に置いてください。税制には複雑な要件や書類の細かい記載事項がありますので、不安がある場合は早めに税理士など専門家に相談することをおすすめします。特例の適用可否や添付書類の内容をチェックしてもらうことで、安心して申告手続きを進められます。
こうしたステップに沿って準備を進めれば、制度利用へのハードルが下がり、実際の控除適用につながりやすくなります。まずはチェックリストの該当状況をご確認のうえ、市区町村窓口や専門家への相談を具体的に検討ください。
まとめ
低未利用土地の特別控除は、活用されていない土地の有効活用を後押しし、所有者の皆さまに最大で100万円の税制優遇を受けられる大変有利な制度です。土地の所在地や、所有期間、譲渡価格などの条件を正しく確認し、自治体による確認書の取得や必要書類の準備をきちんと行うことで、制度の恩恵をスムーズに受けることができます。最新の制度改正や自治体の状況も押さえつつ、少しでも不安があれば専門家への相談をおすすめいたします。大切な資産を有効に活かす一歩として、制度の活用をご検討ください。